2013年にいじめ防止対策推進法が成立しました。同法は、いじめを児童らが心身の苦痛を感じているものと広く定義しています。重大な被害が生じた場合、学校や教育委員会が第三者委員会を立ち上げて調査して、事実関係を保護者に伝えることなどを定めています。しかし、最近は被害者側が学校側の調査内容に納得せずに、新たな第三者委員会に再調査を求めるケースが増えてきています。
全国の小中高などで認知されたいじめ件数は右肩上がりで増えており、2019年度は、約61万件と過去最多を更新しました。文部科学省は、学校が初期段階で対応するため以前なら見過ごされていたいじめを積極的に把握できるようになったと説明しています。しかし、命の危険や不登校につながった疑いのある重大事態も、723件で最多となっています。
学校の調査がいまだ形骸化しているとの指摘もあり、現場で法が軽視されている事態があることも否定できません。いじめ防止対策推進法に実効性をより持たせるために法改正が必要と思われます。
(2021年10月21日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)