日本小児がん研究グループ(JCCG)などは、1,800人の患者が参加した小児急性リンパ性白血病の国内臨床試験の結果をまとめています。生存率が国際的に最高水準の標準治療を確立したとしています。急性リンパ性白血病は血液のがんで、子どもではB前駆細胞型が最も多く、年間400人が発症します。以前は不治の病でしたが、様々な治療法が開発され、今では5年生存率は9割以上となっています。
最初の治療で、95%以上の子でほとんどの白血病細胞がなくなる寛解を達成しますが、わずかに残った細胞を根絶するために薬などによる強力な治療も必要となります。強い治療をするほど、後に心臓の機能低下や神経の障害などの晩期合併症が出るリスクが高まります。治療を弱めると再発率が高まります。
標準リスク群では抗がん剤を減らすことが可能となり、一番弱い治療でも再発リスクが上がらないことを確認しています。高リスク群でも予防的な放射線照射を無くし、全体として造血幹細胞移植の対象となる患者も減らすことができています。合併症の死亡率も0.6%に抑えつつ、5年生存率は国際的にも最高水準の94.3%でした。
患者に大きな負担がかかる造血幹細胞移植を、日本全体で減らすこともできたことは非常に大きな成果です。しかし、これまでの抗がん剤だけでは生存率を改善させる限界に来ているかもしれません。
(2024年12月25日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)