子どもの治療薬は、大人の薬に比べて安全性や有効性が確認されていないことが多くなっています。特に患者が少ない難病では、製薬企業の利益が出にくく、臨床試験(治験)が難しいこともあり、なかなか開発が進みません。患者が少なく市場規模が小さいことや、治験をするのが難しいことが開発を妨げているとされています。
日本小児科学会は、2017年度に関連学会と連携し、AMEDからの補助を受けて製薬業界を後押しする小児医薬品開発ネットワークを発足させました。企業から小児向けの薬の開発計画の概要を提出してもらい、臨床上の必要性と優先度を検討し、治験の施設選びなどで企業を支援します。これまでに10件の支援が決まっています。欧米では小児薬開発を製薬企業に義務づけています。国内でもそうした制度とともに、企業が開発の対価を得られる仕組みづくりが必要となります。
(2019年1月30日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)