小惑星の砂から糖の発見

 東北大学の研究グループは、NASAの探査機が小惑星ベンヌから持ち帰った砂を分析し、糖を発見しました。地球で誕生した生命の材料が、小惑星によって宇宙からもたらされたとする説の証拠の一つになります。生命の起源解明に迫る成果です。ベンヌは地球と火星の間の軌道を公転する直径500mほどの小惑星です。

 地球に落ちてきた隕石からは、生命の材料分子でDNAやRNAをつくる核酸塩基や糖、たんぱく質をつくるアミノ酸が見つかっており、宇宙から地球に生命の材料がもたらされたという説がありました。NASAの研究チームは、2025年に核酸塩基やアミノ酸などの有機物をベンヌの試料から発見したと発表していました。しかし、糖は見つかっていませんでした。

 研究グループは0.6gの試料を分析し、6種類の糖を発見しました。RNAの構成分子のリボースのほか、生命活動の主なエネルギー源として使われるグルコースを見つけました。DNAを構成する糖は見つからなかったことにより、生命誕生の初期にはRNAがDNAとたんぱく質の役割を担っていたというRNAワールド仮説の根拠の一つになると考えられます。

(2025年12月3日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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