小泉進次郎環境相は、第1子誕生以降の3カ月のうちに通算2週間の育児休暇を取得する考えを示しました。環境省広報室によると、男性閣僚としては史上初です。ただ、国会審議や閣議には出席し、大臣としての決裁事務も続けるとしています。大臣の仕事はそんなに甘くない、国家の仕事が最優先といった批判が相次いでいました。
しかし、公務最優先、危機管理万全を強調した上で、テレビ会議や電子メールなどを駆使したテレワークを導入したり、一部職務を副大臣や政務官に任せたりすることで、育児のための時間を捻出するとしています。同じ特別職の公務員で育児休暇を取った三重県の鈴木英敬知事らの例を参考にしています。
政府は少子化対策につなげるため、2020年度から男性の国家公務員に1カ月以上の育休取得を促す制度を始めます。制度だけではなく、社会の空気を変えなければ育休は増えません。組織のトップが、働き方改革を率先し、モデルとなって育休を取得することは必要なことです。仕事が忙しいから育休を取得できないと言い訳できないような職場環境を作ることが大切です。
特別職の国家公務員である閣僚や国会議員には、法律で定められた休暇制度はありません。海外ではニュージーランドのアーダーン首相が出産に伴い長期休暇を取り、副首相が首相を代行しました。デンマークやスウェーデンには男女を問わず国会議員に数カ月単位の育休制度が整っています。今回の小泉環境相の育休取得により、わが国においても一気に男性の育休取得が進むことが期待されます。
(2020年1月16日 毎日新聞、日本経済新聞)
(吉村 やすのり)