今後5年間の少子化対策の指針となる少子化社会対策大綱において、数値目標として希望出生率1.8の実現を初めて明記しています。具体策として不妊治療にかかる費用負担の軽減や児童手当の拡充検討などを掲げ、経済的支援を整備するとしています。
大綱は冒頭で、2019年の推計出生数が過去最少の86万人だったことを86万ショックと表現し、歯止めがかからない少子化への危機感を示しています。男性の育休取得率を30%、1人目の子どもを産んだ女性が継続して就業する率を70%にするとしています。また、保育所の待機児童を2020年度末に解消すると掲げています。
不妊治療では、高額な医療費がかかる体外受精や顕微授精に助成するほか、効果が明らかな治療に医療保険を適用することを検討します。児童手当では、3人以上の子どもがいる多子世帯や子どもの年齢に応じた給付の拡充、重点化が必要としています。大綱は、未婚化・晩婚化などの背景に、経済的な不安定さや教育費負担があるとしています。政府としては、大綱に盛り込んだ施策を具体化させることで、子育て世代の経済的基盤を安定させ、出生率の上昇につなげたい考えです。
(2020年5月30日 読売新聞)
(吉村 やすのり)