就職氷河期世代の今後

 1993〜2004年ごろに高校や大学を出て就職難に直面した世代を氷河期世代と呼びます。バブルが崩壊して経済が停滞し、企業が採用数を抑える就職難が始まりました。その後の長期停滞は失われた30年と呼ばれています。

 大学を卒業した人のうち、就職した割合をみると、バブル世代の1990年卒は81%でしたが、就職氷河期世代の2003年卒では55%まで下がりました。氷河期世代では、高卒のみならず大卒の求人倍率も低下し、非正規雇用が高くなっています。

 2008年に世界的な金融危機であるリーマン・ショックが、2011年には東日本大震災が起こり、企業の採用意欲が薄れました。この世代はリーマン・震災世代と呼ばれます。しかし、この世代と比べて氷河期世代は、期間が長くて人数が多く、約2,000万人が該当します。日本の総人口の約6分の1にもあたり、これからこの世代が老後を迎える際に介護や低年金の問題も指摘されています。

 今後は少子化で超売り手市場になることにより、氷河期世代の雇用も安定化に向かうものと思われます。実際に氷河期世代の女性の就業率が改善しています。育休や保育園の拡充など、女性が仕事と育児を両立できるようになってきています。求人倍率も上昇し、雇用もさらに流動化すると思われ、新たな好転的な局面を迎えることができるかもしれません。

(2024年12月7日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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