内閣府によれば、就職氷河期世代は概ね1993~2004年の間に社会に出た人を指します。バブル景気が崩壊し、1990年代末に大手金融機関の破綻が相次いだ後、大卒就職率は50%台に低迷しました。社会問題としての認識が強まり、就労支援などの対策が順次講じられるようになりました。しかし、新卒時に就職できなかった影響はその後も尾を引き、この世代の就労状況の不安定さは長く続いています。
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国勢調査によれば、2020年時点で未婚者のうち40代は247万人、50代は138万人が親と同居しており、うち40代は48万人、50代は32万人が就業もしていません。なかには、いわゆる引きこもりの人も一定数に上るとみられ、50代の引きこもりの子どもを80代の親が支える8050問題が、今後深刻化する懸念もあります。
この氷河期世代の持ち家率が急低下しています。持ち家率が最新の2023年で40代で58%、50代で65.5%です。30年前と比べ、いずれも10ポイント前後も低下しています。他の世代と比較しても低下幅が大きくなっています。氷河期世代の持ち家率低下の一因と考えられるのが経済的苦境です。大卒の就職率は、バブル期の1991年卒に比べ5~26ポイントほど低くなっています。
年収の低迷は住宅の購入を抑制しています。住宅購入の大きな動機でもある結婚や出産の機会が訪れなかった人も多くなっています。さらに物価高が追い打ちをかけ、住宅の購入には諦めムードが漂っています。
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(2025年2月16日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)