政府の就職氷河期世代の支援策は、2003年の若者自立・挑戦プランに始まり、2012年以降もフリーターやニートを企業が正社員として雇用するための、さまざまな支援策が打ち出されています。その1つがハローワークなどを通じて原則3カ月のお試し雇用をする事業主に助成金を支給するトライアル雇用助成金(月額4万円)です。2013年度にスタートし、2014年度は4万人超が利用したが、2017年度は約2.4万人と減少傾向にあります。
もう一つの支援が、正社員として雇用する事業主に助成金を支給する特定求職者雇用開発助成金(長期不安定雇用者雇用開発コース)です。2017年度に開始されましたが、約5.3億円の予算額に対し、実際の利用はわずか27件の765万円しか使われていません。2018年度は約10.8億円に予算額が倍増しましたが、利用は453件、約1.3億円にとどまっています。雇い入れ日の前日から起算して、過去10年間に5回以上離職または転職を繰り返しているという厳しい要件が、利用の低迷につながっています。
こうした指摘を受けて新たに登場したのが、今回の氷河期世代支援プログラムです。目玉の1つが、業界団体による短期資格等習得コースです。1〜3カ月程度で取得できる資格・技能があれば、正社員に雇用される職種を対象に、その間の資格取得費用や経費を厚生労働省が委託費として全額支給するものです。例えば運輸業であれば、教習所での受講にかかる大型車の運転免許取得費用、IT業界であれば必要なITスキル習得費用を支給します。業界団体ごとに、必要資格・技能取得のためのカリキュラムなどの支援内容、団体傘下の事業所での職場見学・体験を盛り込んだ計画書を厚労省に申請します。
(吉村 やすのり)
(2020年1月25日 週刊東洋経済)