大阪大学の研究グループの報告によれば、食べ物から水分を吸収して便を形成する役割を持つ大腸について、見た目には同じに見える体の左側と右側でまったく違う遺伝子が発現しており、それぞれ異なる役割を持っていることが分かりました。日本で最も多いのは大腸がんで、その78%は大腸の左側で発症します。左右で発がんの仕組みが違うことが明らかになっています。
健康な人では、大腸の右側では免疫反応など異物に反応する遺伝子が多く発現しています。免疫細胞が多くある小腸で除去されなかった食べ物の異物や微生物を排除する役割を主に担っています。左側では保水機能や細胞の機能制御に関わる遺伝子などが多く発現しています。左側が以前から知られる水分吸収の役割を主に担うと考えられ、左右で役割が大きく異なっています。
大腸がんが進行している患者を詳しく調べたところ、がんではない部位でも、遺伝子の発現が健康な人と異なることが判明しています。がんがない部位でも健康ではなく、リスクが高まっている状態と言えます。
(2024年11月9日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)