厚生労働省と財務省は、市販薬を一定額以上買うと所得税を減らすことができる制度を新たに設ける方針です。市販薬の代金を課税所得から差し引く仕組みで、早ければ2016年から実施します。家族合わせて市販薬に年1万円を超える出費をした場合、1万円を超える部分を課税所得から差し引くことになります。軽い症状は病院に行かずに治してもらうようにすることにより、医療費の削減につなげることが目的です。
現在でも病院の受診や市販薬の購入などに年10万円を超える支出をする世帯には、医療費控除という制度があります。10万円を超える部分を課税所得から差し引き、所得税の支払いを減らすことができます。ただ市販薬を買うだけで10万円を超えることは珍しく、病院に行かずに薬局の薬で治療に取り組む人は、減税の恩恵を受けにくい状況にありました。減税のためには、薬局などからもらう領収書を添えて確定申告を義務付けることにしています。
(2015年11月20日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)