希少がんとは、その発症が人口10万人あたり年間6人未満と罹る人が少ないがんのことです。舌がんを含む口腔がんや脳腫瘍、急性骨髄性白血病などで、中には人口10万人あたり0.01人と、稀ながんもあります。ただし希少がんは約190種類あり、国内やヨーロッパでの調査では、希少がん全体では、全てのがんの15~20%と推計されています。
15~39歳のAYA世代(思春期と若い成人)では、がんになる人のほとんどが希少がんです。まとまった診療データが乏しいので、それぞれのがんに効く抗がん剤など治療薬の開発が進めにくい状況にあります。治療指針も十分に整備されていません。今年の春から保険が適用される見込みのゲノム医療に期待が寄せられています。がん細胞の遺伝子異常を調べて患者に合う薬を探すことで、別のがんで既に承認されている薬が使えるようになるかもしれません。
(2019年3月12日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)