年金受給年齢の見直し

公的年金の新たな制度改正の概要が固まりました。柱となるのは、①受給開始年齢を75歳まで延長、②中小企業で働くパートへの厚生年金の加入拡大、③働く60歳代前半の年金減額縮小の3つです。公的年金を受け取り始める年齢は、65歳を基準に60~70歳の間で自由に選べるようになります。今回の制度改正でめざすのは、これを75歳まで広げ、年金の受給開始年齢の選択幅を広げることです。
受け取り始める年齢を遅らせると、1カ月あたりの年金額は増え、早めると減ります。1カ月遅らせるごとに年金は0.7%増えます。例えば70歳まで5年間繰り下げれば42%増え、75歳まで10年遅らせれば84%増となります。年金額が200万円の場合、75歳で受け取り始めるなら年368万円になります。増額の効果は生涯続きます。
しかし、年金は税制上、雑所得の扱いになります。雑所得から公的年金等控除額を差し引き、課税されます。受け取る年金額が多いほど、課税所得も多くなります。公的医療の保険料や介護保険料も所得が高いほど負担は増えます。

(2019年12月25日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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