日本の年間労働時間が大幅に減っています。2020年は1人平均1,811時間となり、3年前に比べ116時間も縮小しています。時間外労働の上限規制導入など一連の働き方改革が動き出したところに、新型コロナウイルスの流行が重なりました。働き盛りの世代を中心に長時間労働者が少なくなっています。
労働時間の減少ペースはコロナ前から加速していました。2017年は前年比5時間減にとどまっていたのが、2018年は25時間減、2019年は32時間減となっていました。働き方改革で長時間労働の是正が徐々に進んできたことを示す結果と言えそうです。
長時間働く人も減っています。週60時間以上なのは2020年に360万人と、2017年に比べ157万人減っています。年代別の減少幅は、40~44歳が30万人で最も大きくなっています。次いで35~39歳が24万人、45~49歳が21万人でした。男性は137万人減の297万人、女性は20万人減の63万人です。
内閣府によれば、日本の名目雇用者報酬は3年間で3.8%増えています。労働時間の減少が、手取りの減少に必ずしもつながっているわけではありません。コロナ後に向けては、無駄な仕事を削ずるだけでなく、時間あたりの付加価値の高い効率的な働き方を探すことが必要になります。
(2021年8月14日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)