幼児教育の重要性

新型コロナウイルスの感染拡大により、学校の閉鎖や保育園の受け入れ縮小といった事態に陥り、家族という視点でみると女性に悪影響が及んでいます。女性は非正規で働いている方が依然として多く、職を失いやすいうえ、学校の閉鎖や保育園の受け入れ縮小により子どもの世話を担うことが多くなっています。所得が激減した家庭などには、早急な現金給付が必要で、さらには学校・保育園・幼稚園を開くことも大事です。休校・休園になると学習が遅れるだけでなく、子どもの心理面に及ぼす影響のみならず、虐待も問題になっています。
幼児への教育は、社会全体にとって非常にメリットが大きいと考えられるようになってきています。幼児教育の効果を長期にわたって検証した米国の研究によると、きちんとした幼児教育を受けた人は、そうでない人に比べて所得が高く、犯罪に手を染める回数が減り、生活保護の受給率が下がっています。わが国の研究においても、家庭的、経済的に恵まれない家庭の子どもが保育園に通うと、多動性、攻撃性が減ることがわかっています。本人の学力の向上に役立つのはもちろん、少年犯罪の削減につながります。
しかし、わが国は、幼児教育に十分なお金を使っているとは言えません。GDPに対する家族関係支出を見ると、スウェーデンなどトップクラスの国が3%台などに対し、日本は1%台半ばに過ぎません。自分が年老いた時、介護サービスや年金などの形で支えてくれるのは子どもの世代です。幼児教育の効果ははっきりしており、そこにお金をかけるのは誰にとっても利益があることなのです。
新型コロナウイルスの広がりで、私たちの生活や働き方は否応なく見直しを迫られました。新型コロナウイルスの影響を長期的な視点で考えると、家族にとっては好ましい方向に社会が変わっていくと思います。テレワークなどの拡大により、会社での勤務時間に縛られないで済むようになり、女性の働き方の選択肢が広がります。男性も育児、家事に参加しやすくなります。現在の日本で、全体で見ると、まだ父親の育児休業取得が多いとは言えません。それでも、数はどんどん増えています。テレワークの拡大が追い風になって、ライフスタイルの変化を促し、少子化対策につながる可能性も出てきます。

(吉村 やすのり)

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