幼児教育・保育の無償化

10月から幼児教育・保育の無償化が始まりました。消費増税で増えた国の税収の一部を子育て世帯に還元する施策です。無償になるのは、3~5歳児の子どもが通う保育所や幼稚園の利用料金です。原則、4月時点で3歳の子からが対象ですが、幼稚園に限って3歳の誕生日から無償になります。住民税が非課税の家庭では、0~2歳児の保育料も無償化の対象です。無償化の対象は、保育料など月々の利用料金で、給食費や制服代などは対象外です。自治体によっては、給食費分を独自に助成金を出して無償化するケースもあります。認可保育所や認定こども園、一定の条件を満たした幼稚園では、保育料や利用料を払う必要がなくなります。
3~5歳児の認可外保育所やベビーシッターは、月3万7,000円が上限です。しかし、認可外保育所に入っている子は誰でも3万7,000円を還付されるわけではなく、保育の必要性があると認定を受けた子が対象となります。一部の対象外の幼稚園の場合は、月2万5,700円が上限です。幼稚園でも、通常の降園時間以降も夜まで預かってもらって両親が働く家庭の預かり保育の利用料については、月1万1,300円が上限です。幼稚園の上限2万5,700円と足して月3万7,000円で、認可外保育所の上限額と同額になります。
明治安田生命保険が発表した0~6歳の子どもがいる人へのアンケート調査によれば、子育てにかかる費用は平均月4万687円で、毎月2万3,620円不足していると感じています。子育てで負担が大きいと感じている費用について、保育園・幼稚園代と答えた人が、66.9%で最も多くなっています。2番目は習い事やお稽古事の費用の41%です。3番目の食費の27.6%の倍以上も保育園・幼稚園代を負担に感じています。無償化について、74.5%が賛成と答えています。しかし、無償化の導入によってさらに子どもをほしいかとの問いでは、さらにほしいと答えた人は2.2%に過ぎません。
幼児教育・保育の無償化で、子育て世帯は大幅な支出削減ができます。全額貯蓄に回すのもいいのですが、子どものために計画的に使うという手もあると思います。今は習い事や幼児教室など幼児期にも多くの教育機会があります。将来を見据えて、必要だと感じるものがあれば投資すべきです。長期的な視野で自分たちにとっての教育費のかけどきを見極め、ペース配分を守って使うことが重要です。

(2019年10月23日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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