幼稚園は学校教育法で学校に定められ、本来は3歳から通います。同園に3歳に満たない児童がいるのは、国が2018年度から始めた2歳児の定期保育を支援する事業の対象となっているためです。2歳児は正式な入園ではなく、あくまで一時預かりという位置付けです。幼稚園は人件費の補助が受けられます。
国は2006年に幼稚園と保育所の機能を併せ持つ認定こども園を創設しました。幼稚園が0~2歳の子どもを預かれるように補助を始め転換を促してきました。子どもの人数の減少が目立つ地方では、幼稚園の多くが認定こども園に移行した県もあります。しかし、都市部では子どもの数が多いため、現状のままでも経営が成り立ち、こども園化するインセンティブが働きにくくなっています。
幼稚園側からするとこども園への移行には、開園時間を延長する必要があるなど負担増の問題もあります。しかし、転換を望まない幼稚園でも、2歳児を預かるメリットはあります。いち早く3歳児以降の利用者を囲い込める点です。人口減少の影響は首都圏でもひたひたと迫っており、園児減に無縁な幼稚園は今後限られてきます。保育の質・量ともに充実させるためには、幼稚園の活用が必要となります。
(2018年12月27日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)