政府は、待機児童対策として1994年に策定したエンゼルプランを手始めに、とくに待機児童が多い3歳児未満の定員拡充や延長保育の推進など、多様なニーズに答えるため、様々な施策を打ち出してきています。しかし都市部では、用地を確保しにくいうえ、慢性的な保育士不足や住民の反対もあって、認可保育所はなかなか増やせていません。
認可保育所に預けることを希望しながらそれがかなわない、いわゆる待機児童の問題は、ずっと子育て世代を悩ませています。9月に発表された今年4月1日現在の待機児童数は全国で2万6,081人で、前年より2,528人増えています。少子化に歯止めをかけるためにも、待機児童の解消は急務です。都市部では、認可保育所の新設や、幼稚園から認定こども園への移行を、優先して推進すべきです。
一方で、待機児童がいるのは、1,741市区町村のうち420にすぎません。そうした地域では、逆にどう減らしていくかが課題となってきます。地域性を考慮したきめ細かな政策が必要となります。国会議員は国の代表であると同時に、地域の代表です。地域に根ざした子育てプランを考えなければなりません。
(2017年10月5日 読売新聞)
(吉村 やすのり)