待機児童数の減少と保育園の増加

政府が掲げた待機児童ゼロに向け、これまでにない急速な受け皿整備が進んでいます。大幅な規制緩和などで、施設の増設を急速に促したことにより、利用希望者を超える定員数がみられるようになってきています。都市部でも長年待機児童を受け入れてきた保育園などで、定員割れや閉園が相次いでいます。始まったばかりの企業主導型園でも、園児が集まらないと事業者から不満の声が上がっています。

一方で、需要が一部地域などに集中し、現場では保育園と希望者のミスマッチが生じており、待機児童解消にはきめ細かなニーズ把握や、子どもたちのためにどのような施設を残していくかの戦略が必要となります。少子化が進む中で、保育ニーズの減少も見据えた長期的なビジョンを示すことが必要です。既に地方では、公立小学校の統廃合が進んでいますが、民間経営が多い保育園は、統合が難しいと思われます。しかし今後は、保育園よりも園児不足が深刻な幼稚園との連携も必要になってきます。

(2020年10月1日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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