各県の推計人口をみると、減少した後横ばいを保つ宮城県に対し、岩手、福島両県の人口は落ち込みに歯止めがかかっていません。特に福島県における原発事故後の復旧の遅れにより人口流失は顕著です。宮城県は仙台圏内多くの被災者が流入している面があり、県外避難者もみられますが、踏みとどまっているようにみえます。
被災地では企業の人手不足が続いています。特に深刻なのが沿岸部の水産加工業です。生産設備を復旧しても、住宅再建の遅れでパ-ト従業員が集まらないような状況が続いています。特に福島県では沿岸部の浜通り地方が深刻です。原発事故で住民が避難するほか、道路や鉄道の寸断が長期化したことが原因と考えられます。現在、国の支援による大規模な復興事業があちこちで進んでおり、被災地の風景は着実に変わってきています。しかし、被災三県でも地域差があることは事実です。今後は原発事故による福島の復興が重要な鍵となります。
(2015年3月11日 日本経済新)
(吉村 やすのり)