日本循環器学会などは、心不全を「心臓が悪いために、息切れやむくみが起こり、だんだん悪くなり、生命を縮める病態」とする新たな定義を発表しています。心不全は通常、数十年かけてじわじわと進行します。心臓病の中では死因の第1位で、入院患者の5人に1人は退院後1年以内に亡くなっています。しかし、初期は症状が出ず、心不全と気づきません。この隠れ心不全の段階から適切に対処することが大切です。
心不全は進行度でステージA~Dに分類されます。将来心不全になる危険性がある段階がステージAです。高血圧や糖尿病などの生活習慣病がある人が該当します。自覚症状が無くても、検査で心臓の肥大や拡張機能低下などの異常が見つかるのがステージBです。息切れやむくみ、だるさといった症状が出るのがステージCです。日常の動作で息切れが起きたら要注意です。ステージDは安静時も苦しい最重症の段階です。
心不全は放置すると着実に進行し、改善しません。突然死を招くこともあります。重症化を防ぐには、早期に発見して薬などで治療するのが重要です。日常生活では、塩分や水分の取り過ぎに注意します。過剰な塩分は血液量を増やし、心臓の負担になります。肥満や喫煙も高血圧や心筋梗塞のリスクを高めます。
(2018年1月20日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)