息切れやむくみ、だるさを感じるといった症状が出る心不全患者が増え続けています。急速な感染症の拡大になぞらえて、心不全パンデミックとも呼ばれています。冬は急性心臓病患者が増えるシーズンです。厚生労働省調査による心不全の総患者数の推計は1996年に約21万人でしたが、2017年は約34万人に増加しています。高齢化に伴い、心不全患者が爆発的に増える心不全パンデミックへの対処が課題になっています。
心不全の代表的な症状や兆候は、息切れ、むくみ、だるさの3つです。いずれも心臓の機能が落ち、血液の循環が悪くなり、血液が停滞することにより起こります。肺水腫による心不全の場合、動いた時に息切れしたり夜寝ている時に息苦しくなったりします。むくみは足の甲や足首などで起きやすくなります。だるさは、動きたくないという感覚や疲れやすさ、食欲不振につながります。
症状があっても、たいした事はないと自分で判断してしまう人も多くみられます。職場や家族の周囲の誰かが息切れなどの異変に気づいたら、心不全を疑って本人にも受診を働きかけることが大切です。コロナ禍での受診控え問題です。一度心不全の発作を起こすと、必ず心不全の病状が悪くなります。
(2020年12月16日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)