新生児の約100人に1人には、何らかの心臓の病気があります。かつて先天性心疾患の患者の多くは、大人になる前に亡くなっていました。1960年代ごろから、手術や薬による管理が進歩して、生存率は大きく向上し、今では90%以上が15歳以上になることができます。大人になった患者の総数は増えています。1997年に約32万人だった15歳以上の患者が、現在は推定で50万人を超え、さらに増えていくと考えられています。
手術した心臓は不整脈が起きやすく、血液の逆流を防ぐ人工弁などに不具合があると心不全にもつながります。心不全が進行すると治療は難しくなり、突然死の恐れもあります。今元気な患者さんでも、専門医がいる病院で定期的な診察を受けることが大切です。
横浜市立大学などの調査によれば、15歳以上の患者の実態について、2013~2017年度に全国の急性期病院に入院した約2万6千人のデータを分析した結果、亡くなったのは853人です。もとの心疾患のタイプ別に死亡時の年齢をみると、軽症が77.0歳、中等症が66.5歳、重症が39.0歳でした。一般の人よりは若くして、救命措置が必要な事態になる可能性は高いと言えます。
(2024年1月30日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)