血液中にある老廃物は、腎臓にある糸球体という組織でこし出され、尿細管を通って尿として排出されます。腎臓内の血管の動脈硬化や脱水、手術による出血などで急性腎不全になると、腎機能が低下します。死亡することもありますが、多くの場合慢性の腎不全になり、将来、腎透析が必要となることがあります。
血液中にあるたんぱく質(AIM)を増やすと急性腎不全の症状が改善することが、マウスの実験で明らかになりました。重症の急性腎不全にかかったマウスに、1日1回、自分の血中に含まれる量の2倍のAIMを注射したところ、尿細管にたまった老廃物がなくなり、腎臓機能が回復したことがNature誌に報告されています。
(吉村 やすのり)