LGBTのうち、体と心の性が一致しているLGB(レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル)は、自分の体への違和感はありません。しかし、T(トランスジェンダー)は、自分の性が体と異なると感じており、FTM(体は女性で心は男性)とMTF(体は男性で心は女性)があります。QはLGBTのいずれにも当てはまらないタイプの人で、Xジェンダーとも呼ばれます。
最近は自分の性自認、つまり自分の性をどのように認識しているのかについて明らかにする人が増えてきています。特にトランスジェンダーの人は、例えば男女別になっているトイレやお風呂、更衣室などが問題になります。自分を女性と自認している人が男子トイレを使ったり、男性ばかりの更衣室で着替えをしたりすることはとても抵抗があります。性には多様性があることを理解することが大切です。最近では学校教育でLGBTQをはじめとする性の多様性を教えるべきと考える人が8割を超えるようになってきています。
男性か女性かは、外性器だけでもすごくバリエーションがあり、脳や筋肉や内臓にも違いがあります。性別は男女とそれ以外の少数派ではなく、全ての人が男女両方の要素を持ち、連続的な変化(グラデーション)の中に存在するという性スペクトラムで考えた方が良いかもしれません。そういう多様性をレインボーカラーで表すことがあって、例えば仏教界でも多様性や個性を尊重しようとアピールしています。
(2021年8月7日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)