学校での性教育の拡充を求める声が強まっています。朝日新聞による全国の教育委員会に対する調査によれば、7割強が拡充を求めています。現在教育がなされていると思う回答が多い反面、5割が学習指導要領以上の内容を授業で教えることを認めたいと回答しています。
性教育を拡充する上で障壁と考えられるものについて、最も多かった回答は授業時間数の不足で、教員の多忙、はどめ規定、教員の意識の差、保護者の理解と続いています。性教育をめぐっては、2000年代に性教育に取り組む教職員や学校を名指しして非難する動きもありました。最近では、小中学校の要請に応じ、助産師や産婦人科医が性に関する講義をしている自治体も増えています。
子どもへの性暴力が社会問題化したことを受け、文部科学省は性暴力を無くすためとして、2023年度から生命の安全教育の全国展開を進めてきましたが、義務教育段階では性交などに触れず、不十分だという声もあります。世界では、人権尊重を基盤に、性交を含めて幅広く学ぶ包括的性教育が広がっています。ユネスコでは、安全で健康的で肯定的な関係性を構築するための態度とスキルを習得するために必要だとしています。

(2025年7月17日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)