公的な保険による診療と保険が利かない自由診療を組み合わせる混合診療では、本来は保険が適用される診療も含めて全額自己負担になります。しかし、安全性や効果が確認できたとする先端医療など受診すると、例外的に保険適用の診療部分に保険が利くようになります。患者申し出療養とは、この例外の範囲を広げ、患者が利用しやすくする狙いがあります。
患者が望めば診療の前例がない先端医療でも、高度医療の中心的な役割を担う臨床研究中核病院を通じて国に申請できます。今3~6ケ月かかる審査は原則6週間と短縮されます。安全性や有効性に問題がないと判断されれば、申し出た先端医療を受けることができます。前例ができれば、臨床研究中核病院と連携する地域の身近な医療機関も申請できるようになります。この場合、審査期間は原則2週間とさらに短くなります。しかしながら、安全性や有効性が確認されないままで実際の医療が行われ、有害事象が発生した場合の対処が必要だとの意見も根強くあります。
(2015年7月9日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)