患者申しで療養とは、保険診療と自由診療を組み合わせる混合診療の一種で、保険が一部適用される例外を広げる制度です。通常の診療においては、医療機関では医療費の1~3割払えば済みます。残りの費用が、公的な保険から支払われます。この保険診療と保険が利かない自由診療を組み合わせるのが混合診療で、これまでは全額自己負担になってしまいます。ただ例外として保険診療部分に限って保険が適用される場合もあります。
すべて保険診療を認めてしまうと、希望者が増えて保険外診療が当たり前になり、患者負担が重くなってしまいます。有効性が確認されていない診療が広がる恐れもあります。今は安全性や効果が期待され、保険適用をめざす先進医療などに限って例外が認められています。先進医療は、現行では大きな病院が一定数の症例を集めないと申請できませんが、難病やがん患者の1人でも希望すればできます。審査期間は、平均3~6カ月から原則3~6週間に短縮されます。前例ができれば、大病院だけでなく地域の身近な医療機関でもやりやすくなります。患者側には期待の一方、審査機関の短縮で安全性を心配する声もあります。
(2015年7月22日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)