成人喘息の予防

喘息は、気管支に慢性的な炎症が生じ、放置しておくと突然呼吸が苦しくなるなどの発作が起こります。喉がヒューヒュー、ゼイゼイ鳴り、呼吸困難に陥ることもあります。要因はダニやカビなどのアレルギーが多く、子どもの場合は9割、成人でも5割を占めています。成人では、子どもの頃は喘息と無縁だったにもかかわらず、30代以降に発症するケースがあります。
適切な処置をしないと重症化しやすいケースが多く、子どもに比べて、アレルゲン(アレルギーの原因物質)が特定できないことが多いとされています。早い段階で受診し、吸入ステロイド薬などを定期的に使用すれば、症状をコントロールしながら、健康な人と変わらぬ日常生活を送ることができます。アレルギー性の場合は、吸入ステロイド薬の薬物療法で、8~9割の患者は症状が緩和します。重症になった場合は、体内のアレルギーを引き起こす物質の働きを抑える抗体製剤が使われます。皮下注射と錠剤による舌下免疫療法の2種類があります。
成人では非アレルギー性の喘息がみられます。風邪やインフルエンザの感染症は、喘息発症の引き金となります。喫煙や受動喫煙、過労やストレスも発症を促す可能性があります。欧米の調査では、肥満と喘息の関係も指摘されています。
アレルギー性の喘息や咳、喘息を発症したら、こまめに部屋の掃除や換気を行い、布団を干します。原因となるダニ、ハウスダスト、花粉、またペットの毛などを吸い込まない生活環境づくりを心がけることが大切です。また、症状を悪化させる風邪薬やインフルエンザに罹らないよう、ワクチン接種や外出時のマスク着用や帰宅後の手洗いは怠りなく励行することです。喫煙者は禁煙することが大切です。

(2020年10月10日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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