所得再配分とは

所得再配分とは、税金や社会保険料で豊かな人により多くの負担を求め、児童手当や生活保護などを通じて、生活に困難を抱える人により多くの給付をすることをいいます。貧困削減に役立つ政策ですが、他国に比べると効果が小さいとされています。ユニセフの2017年の報告によれば、所得再分配によって子どもの貧困率が削減された場合は、先進37カ国の平均が37.5%ですが、日本は18%です。上位12カ国は、再配分で5割以上削減されています。
2012年の子どもの貧困率は16.3%です。2015年は13.9%に改善しましたが、OECDの平均13.1%より高くなっています。ひとり親世帯の貧困率は、50%を超えています。特に母子世帯は8割が働いていますが、貧困率が高く、その平均所得は、児童のいる世帯の3分の1程度に過ぎません。厚生労働省は、2020年に母子家庭の自立支援対策として、福祉の手当から就労を促進する方向性を打ち出しています。一方、長時間労働を前提とし、男性が稼ぎ主で女性が補助的に働き育児や介護などを担う仕組みは、今も根強く残っています。子どものいる男女の賃金格差は10対4です。

(2020年4月6日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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