政府税制調査会が、格差をできるだけなくし、若者の結婚や子育てを後押しするために、所得税の改革のための議論を始めます。少子高齢化が急速に進み、非正規労働者も増える時代にあった、税のあるべき姿を検討します。主に議論するのは、税を納める人の暮らしに配慮して負担を軽くする控除の見直しです。
働く女性を増やし、子育て世帯を支援するため、税負担を軽くする制度などを根本から見直すことにしています。年齢にかかわらず所得や資産が多い人の負担を重くするなど、少子高齢化の痛みを和らげる改革が必要になります。政府が目標とする実質2%成長を後押しする税体系への移行を見直すことになります。
所得税制は日本社会の変化に追いついておらず、ゆがみが生じてきています。共働きが増えたり、転職が当たり前になったりした時代に対応した税制に変えるころができれば、働きやすくなり、経済成長に資することにもなります。所得税改革では、現役世代よりも年金受給者に手厚い控除を与えている公的年金控除を抜本的に見直すべきです。世代を問わず、低所得者に対しては給付付き税額控除によって配慮する仕組みが必要となります。税と社会保障を一体で改革する視点が重要です。
(2015年7月3日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)