抗体カクテル療法の体制づくり

新型コロナウイルスの軽症者らの重症化を防ぐ抗体カクテル療法を早期に投与する体制づくりが急務となっています。軽症から中等症患者の治療に使うカクテル療法は、点滴薬であるロナプリーブで、重症化リスクの高い50歳以上や基礎疾患のある人が投与対象です。重症化や死亡のリスクを7割下げるとされています。東京都によれば、投与から14日以上たった420例の95%で症状が改善したとしています。
カクテル療法で重症化を抑えれば病床逼迫を防げます。そのためには発症後、早期の投与が必要となります。発症から8日目以降に投与した場合は有効性を裏付けるデータがなく、7日以内の投与が求められています。そのためには在宅で使用できるような体制づくりが必要となります。
在宅使用では、点滴終了後も1時間程度は副作用が出ないか経過観察が必要となります。往診する医師や看護師など人手の確保が前提で、地元の医師会や看護協会などとの連携がカギとなります。大阪府では、8月下旬からは宿泊療養施設で開始しています。東京都医師会は、病院外来や臨時医療施設、在宅などで多くの患者が使える体制づくりを提言しています。
重症化を防ぐ治療薬は選択肢も広がっています。英グラクソ・スミスクラインの点滴薬ソトロビマブも月内に承認される見通しです。重症化リスクを持たない感染者にも広く使える飲み薬の新薬も治験が進んでいます。

(2021年9月16日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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