抗菌薬処方の不要性

自治医科大学らの研究調査によれば、国内の外来診療で出された抗菌薬(抗生物質)の6割近くが、効果がない風邪などウイルス性の感染症への不必要な処方だったことがわかりました。75%は専門医らが推奨していない薬でした。抗菌薬の不適切な使い方は、薬剤耐性菌が生じる原因になるため、適正な使い方が大切となります。抗菌薬が必要とされる疾患に処方されたのは、全体の8%にとどまっています。処方された56%は、風邪や急性気管支炎などウイルスが原因の病気に処方されています。抗菌薬は細菌感染の治療薬で、ウイルス性の感染症には効果がありません。また急性咽頭炎(扁桃炎)や急性副鼻腔炎などへの処方が36%ありましたが、細菌が原因のケースは1~2割のため、効果がないウイルス性にも多く処方されていたと考えられます。
処方された抗菌薬の86%は、様々な種類の細菌に効く広域抗菌薬と呼ばれるタイプです。耐性菌が発生、増殖しやすいため、欧州ではまれにしか使われていません。医師は患者に十分に説明した上で、必要な場合のみ必要な種類の抗菌薬を使うという原則をきちんと実践し、患者もそれを理解することが大切です。

(2020年1月3日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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