厚生労働省研究班の調査によれば、拒食症や過食症などの摂食障害で治療を受けている患者が、全国に推計2万6千人いることが明らかになりました。摂食障害は、主に極端に食事を制限する拒食症と、大量の食事を摂取する過食症に大別されます。うち約9割にあたる2万3,000人が女性でした。症状別の内訳では、最も多いのは極端に食事の量を減らす拒食症で、女性が約1万1,580人を占めています。男性は約620人です。過食症では、食べたり吐いたりを繰り返すタイプが、ひたすら食べるタイプを上回っています。
拒食症が過食症に移行する場合が多くみられます。拒食症は活動性が高いのですが、過食症になると引き籠るようになってきます。登校拒否の中には、こうした摂食障害によるものが少なからず認められます。わが国においては、摂食障害の専門家も少なく、摂食障害の人は適切な治療機関につなげられていないことが多く、治療体制の早急な整備が必要となります。
(2016年4月15日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)