子育ては楽しい
少子化は深刻なスピードで進行しています。大前提として、結婚や出産は、個人の自由意思で行われるものであり、政府を含め、第三者がそのありようについて意見をしたり、プレッシャーを与えるものではないと思っています。しかし、自由意思として未婚や子どもを持たないことを完全に個人の問題にしてしまうことは、現代社会が抱えている結婚や出産に関する構造的な問題をマスクすることにつながります。社会全体がもっと子育てについてポジティブなメッセージを発信すべきです。子育ては大変であるが幸せなことであること、また自分育てであるといった感性の醸成が大切です。
結婚も出産を不本意にもその機会を逃してしまう人たちが多くいるのが現状です。そういった人たちを減らすために、今やるべきことは、若者、夫婦、子育て世代を取り巻く環境を直視して、彼らの本音に寄り添い、安心して出産・育児をできるような選択肢を用意しなければなりません。これなら子どもを育てられるという安心感を醸成し、子育ては楽しいけれど大変を大変だけれど楽しいという社会に変えることが必要となります。
(Wedge August 2023)
(吉村 やすのり)