改正民法の施行

子が生まれた時期によって法律上の父親を推定する嫡出推定制度を変える改正民法が、4月1日に施行されます。離婚から300日以内の出産でも、女性が再婚していれば現夫の子と推定します。離婚した夫の子と推定されることを避け、子が無戸籍となる問題の解消を目指します。現行法は、離婚後300日以内に生まれた子は前夫の子とする嫡出推定の規定がありました。
前夫以外の男性との間で子が生まれた時に、前夫の子と推定して戸籍に記載されるのを避けるため、母が出生届を出さずに子が無戸籍になる事例がありました。無戸籍だと住民票やパスポートは原則作れません。親の遺産の相続や就職で不利になる場合があります。法務省によれば、2024年2月時点で700人超が無戸籍です。
女性が離婚後100日間は再婚できない再婚禁止期間も撤廃します。法施行後の婚姻に適用します。今は、婚姻してから200日を経過した後の子は、婚姻した夫の子と推定しています。離婚後すぐ再婚すると、離婚から300日以内の子は、前夫の子と推定する規定と重複して、どちらの夫の子か判断しにくいため禁止期間を設けていました。改正法は、女性が再婚する場合は、再婚後の夫の子と推定するのを優先することなどで重ならなくなります。
母や子が事後的に嫡出推定を否認できる仕組みも新設します。改正法は、子の出生後3年以内なら否認の訴えが可能になります。現行法は、父のみが子の出生を知った時から1年以内に否認の訴えが可能で、夫に手続きを取ってもらう必要がありました。

(2024年3月27日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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