政府のタクシー不足対策

タクシー会社で働く運転手は、今年3月末時点で約23万2千人です。2019年から約2割減っています。新型コロナウイルスの感染拡大で外出を控える人が増えて利用が少なくなり、中高年を中心に辞める人が増えました。車は余っていても、運転手がいないというタクシー会社が多くなっています。
観光地や都市部で不足が目立っています。コロナ禍からの経済回復に加え、海外からの観光客が急に増えたからです。ある時間帯だけ不足するケースも多くなっています。一方、過疎地ではコロナ禍の前から客が減り、タクシー会社の撤退が増えています。
タクシー不足対策としてライドシェアが考えられています。ライド(乗る)とシェア(一緒に使う、分け合う)を組み合わせた言葉で、一般ドライバーが自家用車に有料で客を乗せることです。相乗りとも言われます。見知らぬ客が乗り合うわけではなく、海外では盛んになっています。スマートフォンのアプリを使い、乗車地と降車地を入力すると、近くを走っている登録された車を呼べます。米国の配車サービスのウーバーなどが知られています。中国や東南アジアでも普及していますが、ヨーロッパなどでは禁じられている国もあります。

政府が検討を始めています。一般ドライバーが有料で客を運ぶことは白タク行為として禁止されています。安全対策や事故が起きた場合の対応で問題が起きる可能性があるためです。しかし、今でも交通の便が悪い過疎地などでは、例外的に認められています。
政府は、タクシー運転手の確保が最優先という姿勢を取っています。必要な二種免許を取得できる年齢を引き下げ、過疎地では個人タクシーの年齢制限を80歳に引き上げます。外国人ドライバーに門戸を広げる方針です。

(2023年10月31日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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