救急車の出動件数の増加

 2024年版消防白書によれば、2023年の救急車の国内出動件数は、高齢化を背景に前年比5.7%増の763万8,558件と過去最多を更新しています。外出や移動が制限された新型コロナウイルス禍の2020~2021年は、500万~600万件台で一時減少しましたが、2022年から700万件を上回る水準となっています。

 救急需要の高まりに対応するため、総務省消防庁は、1月末に全国の消防本部に通知を出し、日勤救急隊の検討を促しています。日勤救急隊は現場の負担を減らし、特定の時間に集中する救急搬送の需給のアンバランスを解消する手段です。子育て中やシニアの職員が働きやすい環境を整え、人手不足に歯止めをかける狙いがあります。いったん退職したシニア職員の復帰先にもなり得ます。

 2023年の搬送人員は6.8%増の664万1,420人に達しています。そのうち48.5%は、入院による治療を必要としない軽症の患者らが占めています。119番の前に、救急車を呼ぶべきか電話相談できる#7119だけでなく、生成AIを活用した搬送緊急度判定アプリの普及など、緊急度の低い患者の搬送を抑える対策も一体で進める必要があります。

(2025年3月18日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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