文部科学省は、教員免許に10年の期限を設けて、更新時に講習受講を義務づける教員免許更新制を2023年度で廃止を決めています。教員免許更新制とは、幼稚園や小中学校、高校などの教員免許に10年の期限を設け、更新を課す仕組みです。2009年度に導入されるまでは、教員免許は無期限でした。
教員個人が、10年ごとに国の教育政策などの必修のほか、教科指導や生徒指導の課題といったテーマを選択し、大学などで30時間以上の講習を受けます。受講後にテストなどを受けて修了すれば、更新されます。更新の手続きを行わなければ、免許は失効してしまいます。夏休み期間や土日などを使い、自腹で約3万円を払って受講しなければなりません。
文部科学省が、現職教員約2,100人を対象に行ったアンケートによれば、講習内容について、教育現場で役立っているは3割に対し、役に立っていないは4割近くに上っています。理由として、5割以上が現実と乖離があり、実践的ではないを挙げています。
現状のやらされ感のある講習では、効果があるとは思えません。忙しい教員でも、自発的に学び続けられる環境づくりが急務です。現在、コロナ下で多くの教員がオンライン指導に試行錯誤しています。こうした現場のニーズに基づいた課題解決に資する研修とともに、中長期的に重要となる学びとの両立を図る必要があります。文科省は、教育委員会などが教員の研修履歴を管理できるシステムを新たに導入する考えです。
(2021年9月15日 読売新聞)
(吉村 やすのり)