技術革新や国際化の進展で、幅広い教養や情報科学の知識を身に付けた文理融合人材の育成が急務とされています。しかし、高校現場では、早くから入試対策などのため、履修科目によるコース分けが定着してしまっています。高校から文系、理系を明確に分ける仕組みは、生徒の進路を狭めるとの指摘もあります。
昨年度、大学の理学部に占める女子の割合は28%、工学部では15%にとどまっています。諸外国に比べても低く、男女共同参画白書は、身近に理系分野に進んだ女性が少ないなどの環境が影響していると分析しています。文系、理系のコース分けは、1990年の大学入試センター試験導入以降、早期化が進んだとみられます。各大学の入試科目が多様になり、効率的な受験対策が広がったためです。文系、理系に早い段階で分けることは、女子の進路選択に大きな影響を与えている可能性があります。
(2019年7月18日 読売新聞)
(吉村 やすのり)