新しい透視技術の開発

 リチウムイオン電池の検査や、乳がんの検診に電磁波とコンピューターによる計算を組み合わせて活用する技術開発が進んでいます。透視技術ではX線を使った手法が有名ですが、放射線の一種であるX線は利用シーンが限られます。今回神戸大学が用いるのは、人体に悪影響を及ぼさないマイクロ波と呼ばれる電磁波です。人間が物体に反射した光を目で受けて物の形を認識するように、物体から反射した電磁波のデータから、コンピューターの計算で物体の形状を明らかにする技術です。

 乳がん検診用のマンモグラフィーに応用できるとされています。現在のマンモグラフィーはX線という電磁波で撮影します。がん組織は白く映ることが多いのですが、正常な乳腺組織も白く映るため、がんを見つけにくい場合があります。撮影にあたって乳房を圧迫するため痛かったり、放射線の一種のX線を用いるため妊婦は検査しにくかったりする課題がありました。

 X線よりも波長が長いマイクロ波という電磁波をマンモグラフィーに用います。がん組織と正常な組織とでは水分の量に違いがあり、マイクロ波を当てるとがん組織の輪郭に沿って反射し、乳がんの有無を確認することができます。

(2025年8月26日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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