慶應義塾大学のチームは、ウイルスの遺伝情報(ゲノム)を調べ、院内での複数の感染ルートを判別できたとしています。 慶應義塾大学病院では3月から4月にかけて、院内で主に二つのクラスター(感染者集団)が発生しました。一つは都内の別の病院で感染した患者の転院、もう一つは初期研修医らの会食などをきっかけに、それぞれ広がったと推定されていました。
チームは、クラスターから見つかったウイルスの遺伝情報を解析し、新型コロナの遺伝情報は、4種類の文字で表される約3万の塩基でできており、15日に1文字ほどのペースで塩基が別の塩基と入れかわっています。ウイルスのゲノムは、それぞれのクラスター内ではほぼ一致していて、同一集団であることが裏付けられました。両者の間では塩基の違いが15カ所ほどで認められ、その違いから、それぞれ変異を重ねながら別のルートで伝わってきたと確認できたとしています。
(2020年11月26日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)