新型コロナウイルスによる致死率の低下

世界における新型コロナウイルスによる致死率は、5月末までは6.1%でしたが、6月以降だけでみると2.3%まで下がってきています。検査数の増加が大きな理由とみられています。検査の拡大に伴って無症状の人を検査することも増え、分母が大きくなり、致死率が下がっていると考えられます。地域の事情もあります。3~4月には、高齢者が多い先進国のイタリアやスペインで感染が拡大しました。5月以降に感染が急拡大したブラジルやインドでは、人口に占める若者の割合が多く、重症化しにくい年齢層が中心だったという状況もあります。
日本でも致死率は下がっています。検査数が増えたことに加え、院内感染対策が進み、治療法が改善したことなどが理由として指摘されています。日本の致死率は5月末まで5.4%でしたが、第2波が起きた6月以降は1.0%に下がっています。死者数は世界で45番目の1,500人強です。高齢者や持病のある人ほど致死率が高く、50代の致死率は0.5%です。それが60代は2.4%、70代は7.5%、80代以上は17.4%と年齢とともに上がります。
重症化しやすい人を早く診断、治療することで亡くなる人を減らす効果もありました。病院や高齢者施設での感染は続いていますが、対策が進んで大規模なクラスターは防げるようになってきています。治療法も改善してきています。

(2020年9月30日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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