英国で報告された変異コロナウイルスは、感染者の増え方から推計すると、感染しやすさが1・7倍高いとされています。日本でも、入国者を中心に30例ほどが確認されています。
変異ウイルスには、ウイルスの遺伝子に違いがいくつかあり、その違いでウイルスの形も変わることがあります。新型コロナウイルスは、表面のスパイクたんぱく質という突起で、ヒトの細胞にある分子にくっついて感染しますが、変異ウイルスでは、この突起の一部がその分子にくっつきやすく変わったと考えられています。
ウイルス変異が、ウイルスの性質にどう影響するのかを正確に知ることは困難です。今のところは、変異ウイルスの方が重症化しやすいとか、ワクチンが効きにくいといったことはありません。変異は、ウイルスが増える時に偶然起こる現象で、止められません。増殖が続かないように、感染者数を減らしていくしか方法はありません。
(2021年1月18日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)