国立感染症研究所が、飲食店では対面で座らないカウンター席でも、隣の人との距離が近いと新型コロナウイルスの感染が広がることがあるとの見解を示しています。飲食店などでの発生したクラスターの共通点として、発症者に手を伸ばせば届く程度の近い距離に人がいたと指摘しています。
カウンター席のある飲食店の事例では、発症者の隣にいた客や接客した店員が陽性となりました。隣の人と腕が当たるほど近く、知らない人とも気軽に会話する雰囲気でした。カウンター越しに2mほど離れた場所で調理していた店員は感染していませんでした。店の広さは約20 ㎡で、大きな換気扇が部屋全体を換気していました。カウンターについたてや透明シートなどはなく、従業員も客もマスクをしていませんでした。感染者が出たのはカウンター席だけで、テーブル席の利用客には感染者はいませんでした。
テーブルを2人で使い、対角線上に180㎝ほどの距離を確保したところ、感染者と同じテーブルで食事したことで感染したと考えられる事例は起きていません。富岳によるシミュレーションでも、話をする人の正面よりも隣に座る人の方が、約5倍の飛沫を浴びるとの研究成果を明らかにしています。
(2020年10月20日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)