新型コロナワクチンの接種開始
米製薬大手ファイザー製のワクチンが英国で緊急使用の承認を受け、接種が始まりました。米国でも近く接種が始まる見通しで、コロナワクチンは実用段階に入っています。通常は10年近くかかる開発期間が大幅に短縮され、有効性や安全性について不明な点も多いとされています。製薬新興企業の米モデルナも緊急使用許可を申請しています。中国の製薬企業シノバックとシノファーム、ロシアのガマレヤ研究所のワクチンもすでに国内で接種が始まっています。
これら以外にも世界では多くのワクチンが開発中です。WHOによれば、臨床試験中のワクチン候補は、12月2日時点で51種類にも達しています。そのうち最終の第3段階に至っているのは13種類です。ワクチンのタイプもRNA、DNA、ウイルスベクター、不活化など様々です。
ワクチンの接種を巡っては、中国とロシアが欧米より先行しています。中国のシノバックとシノファームは、2020年夏に治験段階にもかかわらず、ワクチンを国内で緊急投与しています。ロシアは8月にガマレヤ研究所のワクチンを世界で初めて承認し、10月にも2例目を承認しています。ロシアのワクチンは国内での供給にとどまる一方、シノバックなどは、インドネシアやブラジルなど10以上の国で治験を実施しています。
(2020年12月10日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)