新型コロナウイルスの検査には、PCR検査と抗体検査があります。PCR検査は、ウイルスの遺伝子を増やして検出します。鼻や喉の奥からウイルスが含まれる体液を採る必要があり、くしゃみなどで医師が感染するリスクもあります。PCR検査は、検体の取り方によっても結果が異なることもあり、偽陰性が多いことが問題です。その正診率は50~70%と言われています。
もう一つの検査は、ウイルスの抗体検査です。ウイルスに感染すると、体の中で異物を排除しようと免疫反応が起き、抗体ができます。このたんぱく質を調べる検査です。新型コロナに対応する抗体が体内にあれば、過去の感染歴が分かります。抗体の検査は採血だけですみ、感染リスクが低く、件数も増やしやすく、結果も早く出ます。しかし、十分な量の抗体ができるには、感染してから何日もかかるので、感染の有無の診断には向きません。感染の広がりやスピードをつかむのに役に立ちます。
厚生労働省は、数千人を対象に特定の地域で何回か試して、抗体を持つ人の割合を調べることを計画しています。感染しても症状が出ない人の割合も分かります。新型コロナでは、回復した人が再感染するケースもみられます。体内にできる抗体の量や、免疫がいつまで続くかなどについては分かっていません。PCR検査と同様、抗体検査の精度の検証が必要なことは言うまでもないことです。
(2020年4月26日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)