新型コロナに感染すると、年齢が上がるほど重症化しやすいとされています。厚生労働省の集計によれば、80代以上では感染者7人に対し1人が死亡しています。40代では約千人に1人、30代では約4千人に1人、20代では約2万4千人に1人になります。10代以下で亡くなった人は国内ではいません。そのため年代ごとにワクチン接種の重みも変わってきます。
筑波大学の原田隆之教授らの意識調査によれば、20代、30代でワクチンを打たないと答えた人は2割を超えています。接種しない理由は、副反応が心配、長期的な害が分かっていないが多くなっています。年代が上昇するにつれて、ワクチン接種を受ける人の割合が増加し、60歳以上では8割以上の人がワクチン接種をすると答えています。
20代~30代は、高齢者と比べて死亡や重症化のリスクが低いためコロナへの不安が小さいことが影響しています。一方で副反応など将来的なリスクには敏感な世代です。若者がよくアクセスするSNSなどを利用して、副反応についての正しい情報を届け、誤解をなくして不安を払拭する必要があります。予防接種に関する市民調査でも、4割の人が接種をためらっています。
WHOや米国保健福祉省は、若い人がmRNAワクチンを打つ利益は、副反応リスクよりも高いと明確に評価しています。接種年齢に達していない子どもや、医学的にワクチンを打てない人が一定数います。多くの人が接種して集団免疫ができれば、そうした人達も守ることができます。ワクチンが社会を守るということを、政府は改めて科学的な根拠に基づき丁寧に説明することが大切です。
(2021年7月28日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)