新型コロナウイルスの感染で、軽症、中等症に使える飲み薬ができました。厚生労働省が2種類を特例承認しました。米製薬大手メルクが開発したラゲブリオと、やはり米国のファイザー社のパキロビッドパックです。メルクの薬は、細胞内に入ったウイルスのRNAが増えるのを妨げます。ファイザーの薬は、ウイルスが増えるのに関わるたんぱく質の合成をブロックします。いずれも発症してから5日以内に使うことになっています。塩野義製薬のS-217622も近く承認申請されます。
重症になるリスクの高い人を対象にした臨床試験で、メルクの薬は重症化リスクを30%下げ、ファイザーの薬は89%下げました。ファイザーの薬は、不整脈や高血圧などの薬の一部と飲み合わせてはいけないことが分かっていて、服薬状況のチエックが欠かせません。メルクの薬は生殖に影響が出る恐れが拭いきれず、妊婦には使えません。塩野義の薬はウイルスを減らすことが確かめられましたが、重症化リスクを下げるかは今後検証されます。
米国の2種類の薬は、細胞レベルの研究で効果があると分かっています。ワクチンとは薬が作用する箇所が違い、変異株でも効果の上では問題にならない可能性が高いとされています。しかし流通量が少なく、当面は重症化リスクの高い人を中心に使われる見通しです。
(2022年2月18日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)