世界の新型コロナウイルス感染者数が、1千万人を超えました。中南米の感染急増に加えて、米国も再拡大しており、増加ペースは加速しています。過去1週間の感染者数の増加数が最も多かったのは、米国の25万人超で、ブラジルの24万人超、インドの約11万人が続いています。過去1週間以内に1日あたり新規感染者数が最多を更新したのは、中南米などを中心に60カ国に達しています。
世界の累計死者数も、28日に約50万人に達しています。約5,000万人だったスペイン風邪など代表的なパンデミックと比べるとまだ少ないですが、2002~2003年にアジア中心に広がった重症急性呼吸器症候群(SARS)や、2012年以降に中東などを襲った中東呼吸器症候群(MERS)と比べると被害は大きくなっています。このまま、世界の感染拡大に歯止めがかからなければ、経済活動の正常化を模索する世界経済に深刻な影響が出ます。OECDは、年内に感染が再び拡大した場合、2020年の世界の実質経済成長率がマイナス7.6%に落ち込むとの予測を公表しています。
(2020年6月29日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)